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臨床現場と座右の銘、「一期一会」について

[2023.06.24]

私事ですが、勤務医をしている時には、しばしばアンギオ(カテーテル脳血管撮影)検査を行っておりました.アンギオは脳卒中などの患者さんに対して、脳の血管の状態を評価し治療を検討する上で時に必要となる検査です.患者さんの病態を知る上で重要な検査なのですが、検査を受ける患者さんにとっては局所麻酔をされて手首から管を入れられ、仰向けのまま動けず、また造影剤のアレルギーや脳梗塞のリスクも伴う、いわば「大変な検査」ではあります.一方で検査を行う側としては中々血管にカテーテルが入らないという事も時にあり、もどかしい局面もしばしば経験しておりました.脳梗塞のリスクからも無理は出来無いのですが、何度試みても上手くいか無い時もあり、そんな時は「心が折れそう」になります.しかしアンギオによって得られる情報はその先の治療の上でも非常に重要であり、且つアンギオ以外の他の検査では得られない情報である為、「何とか結果は出しておきたい、このタイミングを逃すと再度の検査は難しい」おもいもあり、その様な「葛藤」を勤務医時代には幾度と無く経験致しました.そういった事もあり、何時の頃からかこのアンギオ検査を行う際には常に「一期一会」という言葉が頭の中で繰り返され、毎回細心の注意を払いつつもカテーテルが血管に入る様に心の中で「はいれっ!」と念じ、「もう二度とは出来無い大切な検査」と考え、検査に漏れが無い様に注意深く臨んで参りました.開業した今はアンギオはしない(装置の都合で出来無い)のですが、20年以上に渡って行って来たアンギオの際の「一期一会」の思いが、日々クリニックに来院頂く患者さんへの診療の際の思いに替わり、「今日の診療はもう二度とは無い大事な診療」という意識となって生きているのでは無いか、その様な気がします.

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