年末年始に思う事
高坂脳外科クリニック 医院長です.年末年始は皆様いかがお過ごしでしょうか? コロナになってから初めて、行動制限の無い年末年始とはなっておりますが、多くの医療機関や事業所では忘年会や新年会は行わない所もまだ多いかと存じます.しかし仲間同士のつかの間の集い、歓談は日々の生活に潤いを与え、仕事のモチベーション維持にも繋がります.少しの時間でも、ささやかでも、そろそろ皆の集いの場を作っていく事も大切では無いでしょうか? さて、一体いつ終熄するやら目処も立たないコロナ禍の昨今、ロシアの仕掛けた理不尽な戦争や両極端な中国のコロナ対応に世界中が翻弄され、日本でも物価は上がり生活が苦しくなって来たと皆さんも感じているのでは無いでしょうか? そんな状況で一番大切なのは、まずは健康でいる事では無いでしょうか? 安定した生活を送って行く、その為には何人(なんびと)も仕事をして稼がないとなりません.「仕事」とは働くばかりでは無く、健康維持の為の散歩や運動もその人の「仕事」です.また「稼ぐ」のは必ずしも「お金」では無く、「仕事」の結果の報酬であり、それは「体力」「筋力」「知力」など、自分の身に付くものです.健康でしっかり仕事が出来る事が我々の日々の生活を支えているのですが、ここで本当に頼れるのは自分だけ、自分が動かないと始まりません.自分が健康で動けるかどうか、です.年末年始が書き入れ時で多忙を極める業種も多い事かと存じますが、健康でなければ仕事どころではありません.我々は病気になり苦しんでいる時には、如何に健康が大切かを実感するものですが、病気やその苦しみが過ぎ去ってしまうと、全く苦しんでいた時のことなど忘れて健康には無頓着になるものです.そう、健康が大切な事はそれを失ってから、初めて強く実感するものです.一方で常に病気と闘いながら日々を過ごしている方もいらっしゃいます.「がん」などは無論ですが、当クリニックでいうと、最も多いところとしては「頭痛」が挙げられます.無論「頭痛は病気では無い」、と言う方もいらっしゃるでしょうが、それは体質的にも酷い頭痛の経験が無い「ラッキー」な方ぐらいでは無いでしょうか? 「頭痛」は立派な「病気」ですし、片頭痛では仕事が出来無くなる程の、程度の強い頭痛や嘔吐を伴う事も少なくありません.この様な「片頭痛」を身近に経験した事が無い人は、「頭痛で仕事が出来無いので休む」という事が「理解」し難い訳ですが、それはその方が幸いにも、頭痛に関しては「健康」であって「病気」として辛い思いをしたり、病気と認識していないからに他なりません.酷い「片頭痛」の患者さんは仕事はもちろんの事、日常の生活に於いても時に様々な制約が生じます.せっかくの休みに予定していた旅行が苦痛になってしまったり、子供の大切な行事に参加出来無くなったり、やろうと思っていた何かを諦めなくてはならなくなったり…これらは日常生活の質を下げるばかりでは無く、社会的にも損失となる問題です.今回のコロナは我々の生活様式を大きく変え、社会的にも重大な損失をもたらした大変な「病気」ですが、多くの方が普段の生活の中で経路不明のまま「病気」になってしまいました.ワクチンを複数回打ってもかかる場合もあり、また現在までのところ本当に有効な「予防薬」も無ければ、確実な「特効薬」も無い「病気」と言えます.今はコロナに対しては正直「打つ手が無い」状態、とも言えます.一方で「片頭痛」の場合には“トリプタン”という「特効薬」があり、最近は更に別の特効薬(セロトニン5-HT1F受容体作動薬)も出てきております.また、残念ながら世間一般にはあまり周知されておりませんが、「片頭痛」には有効な「予防薬」があり、これも最近は更に有効性の高い「予防薬の注射(抗CGRP受容体抗体)」が出てきております.この「片頭痛予防の注射薬」は高額な薬価の問題と施行出来る医師側の条件も厳しい事から、なかなか浸透しておりませんが、重い症状に悩まされてきた片頭痛の方には福音となる治療でしょう.また片頭痛以外にも様々な頭痛があり、それに悩まされている大勢の方がいらっしゃいます.また頭痛以外にも病気についての相談をしたい方も多いかと存じます.当クリニックはそんな皆さんの相談窓口となり、また治療への道しるべとなり、ともに考えて行きたいと思っておりますので、どうぞお気軽に御相談ください.